マーヴィン懐中時計「Peace」制作裏話 その7

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スイスはバーゼルワールドにて、完成されたサンプルを手に取りました。
日本の企画商品のために、CEO自らが発案してくれたオリジナルレザーボックスもその時に確認しましたが、わざわざこのモデルのためだけに特別デザインされているところが、マーヴィンが本気でこの懐中時計の製作に取り組んでくれた証だと感じています。

実はこの時、もう一つ楽しみにしていたことがありました。

時計自体の仕上がりはもちろん楽しみなことですが、今回懐中時計を復刻するモデルとなった、1880年代の懐中時計を見せてもらえるということだったのです。

オリジナルを見るのは初めてで、手に持つ時はとても緊張したのが忘れられません。
ずっしりと重く、表面はかなり経年変化で色が変わっているのですが、20年前の時計と言われても疑わないほどきれいな状態が保たれているのです。

軽く100年は超えているにも関わらず、いい状態がキープされ続けていることに、マーヴィン社のつくる時計の室の高さを実感しました。

時計自体は動いていませんでしたが、確認したところきちんとメンテナンスを受けているとの事なので、おそらくゼンマイを巻いてみると動くはずです。
100年以上経過しても、実際に使えるというのは素晴らしいことです。

今回製作したマーヴィンの懐中時計も、オリジナルと同じように100年後も愛され続ける時計になるように、と思い開発をすすめてきました。
もちろん、機械式時計は定期的にメンテナンスを行うことにより、半永久的に使い続けていくことができます。

しかし全ての機械式時計ではありません。
残念なことに、長年愛用するべきではない機械式時計はとても多く存在します。
新品当初はその違いがあまりわからなくても、数年、数十年と使い続けることにより「永く使い続ける価値があるもの」「愛用する価値がないもの」へと変化していきます。

これは別にブランドを指しているわけではありません。
今では一流と呼ばれるブランドでも、実績がない時代の時計はチープなモデルがあった、ということもあります。

ものづくりに真摯に取り組んでいるブランドは、必然的に素材一つからいいパーツ、いい仕上げにこだわり続けます。
「いいもの」とは、決して換金性が高い事に限らず、何年、何十年と「変わらず使い続けられる」ものです。

100年以上経過してもいい状態がキープされている懐中時計を見て、あらためてマーヴィン社とコラボレーションできた事の素晴らしさを再認識しました。

今回製作したマーヴィン懐中時計「PEACE」(※お客様へ募集しペットネームが決まりました)は、決して換金性が高いわけではありません。もし転売したとしても、たいした金額にはならないでしょう。
価値はそこにあらず、親から子へ、子から孫へと受け継がれることで、お金では買えない価値がこの時計に宿っていくのです。

決して派手ではなく、高価な装飾で彩られているわけではありません。とてもシンプルに仕上げられています。シンプルだからこそ、流行り廃りとは関係なく、永年飽きずに愛用していただけるのです。

この懐中時計は、日常から愛用していただける方にこそ持っていただきたい時計です。

バイヤー:合田圭四郎

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