故障への間違った意識

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時計は機械ものです。
金属の塊などではなく、細かい部品がいくつも集合し、ひとつひとつの部品がかみあって動きはじめて時計として機能します。

人間は言葉を発することができるので「今日は調子が悪い」「今日はすこぶる絶好調」など言葉を使って周りに自身の調子を発信ができます。

しかし時計は自ら何かを発信することができません。

店頭でお話を聞いていると「この時計は10年以上故障したことがない」と豪語する方がたまにいらっしゃいます。

この方が時計の修理技能士であれば違和感ない言葉なのですが、時計の調子を見たことすらない方に限ってこういった言葉を発します。
少し言葉を補足するとしたら「この時計は10年間以上何にもメンテナンスせずに使っているが、一度も壊れたことがない」という意味になります。

冒頭で書いた通り、時計は調子が悪くても、オーバーホールしてもらいたくても自分から発信することはありません。
全てはオーナーが気をつけることとなります。

自分のものとして大切に使うオーナーだからこそ、一番故障に敏感でなくてはいけないのです。

よく何も故障がないといいますが、何かあってからでは手遅れなのです。

故障があって時計が動かなくなるという現象は、内部で異常が発生し通常通り動くことができないから動かないのです。
という事は内部の部品が損傷した、または外れていたり、最悪は内部が錆び付いてしまっている場合もあります。

人間では定期健診で定期的に体の調子を確認します。
乗り物(乗り物によりますが)では車検があります。車検は、検査を受けることによりブレーキが効くのか、音に異常はないかなど必要最低限のチェックが可能です。

時計の場合、車検や定期検診のような決まりはありませんが、新品で購入した時は4年後、それ以降は3年おき程度でオーバーホールする必要があります。

故障するまで何もせず使い続けるではなく、何もないうちから定期的にメンテナンスを受ける必要があるのです。

そうやってメンテナンスを受けながら大切に使われる時計こそ、何年経っても新品のような、いいコンディションを保つのです。
時計のように、複雑な部品を組み合わせて作られている精密機器は、全ての部品が問題なく稼働してこそ動き続けることができます。

何か不良がある場合、そこに関わる別の部品にまで影響が出る可能性があります。快調に使い続けられるよう、定期的なメンテナンス必要不可欠なのです。

バイヤー:合田圭四郎

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