安心して持てるオリジナルムーブメント

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機械式時計を持つにあたり、時計本体の価格はもちろんのこと、心配なのはムーブメントの質です。ムーブメントの質が悪いと、いくら良い材料を使っていても心臓部分が弱いため実用性が低くなってしまいます。

時計の価格帯には大きく分けて3階層あります。100万円オーバーが普通ランクの最高峰であるハイクラス、数万円から数十万円クラスのミドルクラス、数千円から数万円ほどのロークラス、というような分類分けになります。一番下層のロークラスは、数万円するにも関わらず大したことないムーブメントを使っている場合があります。

数万円出してロークラスとは言いたくありませんが、多くは中国製のムーブメントを使っているのが現状です。

スイス製機械式を購入する場合、こだわっておきたいのはブランドの位置なのです。スイス時計はいくつかのグループに分かれております。大きなところでいいえば、ジュネーブで見本市を開く中心グループのリシュモングループ、バーゼルワールドで中心的な存在であるスウォッチ・グループなどがあります。

スウォッチ・グループには、ETA社というムーブメントメーカーが参入しています。このETA社は世界でも最大クラスの汎用性ムーブメントを作るメーカーで、多くの機械式時計に採用されています。しかし2010年からムーブメントの共有をストップすることになっているので、いずれは使われるブランドが減る、またはやたら高級化すると考えられます。

上記は時計業界の「2010年問題」と呼ばれ(※実は2005年あたりからあった問題)ここ数年ではやたらとマニュファクチュールというキーワードが流行し、自社工場で一貫生産するオリジナルムーブメントを開発するブランドが増えました。

しかし、自社ムーブメントを生産できるのは、あくまでもそれだけ資金のあるブランドで、他社のムーブメントに依存しているブランドがほとんどとなるのです。スウォッチ・グループのメンバーである、ティソ、ロンジンなどはETA社協力のもと、ここ数年で新しいムーブメントを開発しています。

ティソは創業160周年となる2013年、最大80時間動き続けるパワーマティックという新しいムーブメントを完成させています。ロンジンは、2010年に開発したコラムホイールムーブメントがあります。もともとロンジンはクロノグラフで名門ブランドという事もあり、かつての名作で、中古市場で価格が高騰し続けている「Cal,13ZN」などがあります。

現行でETA社が生産している代表的なクロノグラフムーブメントは、とてもコストパフォーマンスに優れており、ある意味完成された機械と言えます。ストップウォッチ機能であるクロノグラフの制動に大きく関わる部分には「カム」が採用されているのが特徴です。

ロンジンが開発したのは、このカム部分にコラムホイール(ピラーホイールとも呼ばれます)を採用した機械です。ロンジンに限らず、過去の名作ムーブメントにはこのコラムホイールが使われていることが多いのですが、この部品は金属の塊から削りだして作らなければならないので、とても高い技術とコストがかかります。

中国製のムーブメントでこのコラムホイールを採用したものがありますが、以前触ってみたところやはり仕上げも操作性も良くない、というより比べる対象にもならないことがよくわかりました。やはり価格の安い模倣品よりは、きちんとした機械の時計を持つのが間違いありません。

バイヤー:合田圭四郎

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安心して持てるオリジナルムーブメント への1件のフィードバック

  1. うむむ のコメント:

    最近時計に本格的に興味を持ち始めました。
    子供の頃に買ってもらった懐中時計と見比べながら「ファッション腕時計がいかにボッタクリで伝統的なブランドからはるかに低価格で同等以上のデザインと仕上げと品質と性能を持ったものが買えるか」という海外の動画を見ていたところ、登場した無銘のあまり仕上げのよろしくない中華ムーブメントが妙に見覚えのあるもので、よく見たら私の時計に入っているもので驚きました。ボッタクリファッション時計の数倍の価格なのに!記事の内容が沁みますし、勉強になります。

    追記:ほぼ同じケース(エングレイブも同じ)・同じムーブメント・同じ文字盤の別ブランドで半額のものを見つけてしまいました。まったく。

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