安物には真似できない仕上げ

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人気の高いブランドのモデルなど、デザインが似ている(真似されている)事がよくあります。欲しいと思う人は多いが、金額が高く手が出せない、希少で手に入りにくいなどの理由が多く含まれると思います。

人気が高い故の有名税のようなもので、ある程度人気モデルが模倣されるのは仕方がないのです。人気がなければ真似したいと思う人もいるわけないんですから。

「○○っぽいモデル」を否定するわけではありません。いいブランドであっても、ダイバーズなどは正式なものを追求すればするほど条件は同じになってくるので、無理に個性ばかりを追い求めていたらきりがないからです。

しかしそれはある程度質の高いブランドでの話で、低価格で販売されている時計では、パッと見はいいブランドと似ているが、よく見ると全然違うのがわかります。
低価格で販売されているので、よほどの大量生産かコストをかけずに生産しないと元が取れないからです。

大量生産では、何千本や何万本などものすごい量を生産しなければなりません。
そうすることでようやく低コストで製作することができるのです。低価格で50本限定という少量生産はまず不可能と言えるでしょう。

低コストで仕上げようと思うと、素材や仕上げなどで妥協しなければなりません。代替のパーツで安物を代用し、見た目重視で近いデザインに仕上げていきます。なのでブレスレットやベゼル、ケース素材などとてもいいとは言えない仕上がりになってしまいます。
もちろんコストのかかる部分ではムーブメントも重要です。

かなりの低価格で販売されている機械式時計やコピー時計には、「スイス製ムーブメント使用」など誇らしげに書かれたりしていますが、スイス製のムーブメントのみをポン付けで使っている時計は、やはりいい仕上げとはお世辞にも言えません。

スイス製のムーブメントを使い、自社でどれだけいい仕上げにするのかが需要な部分となるのです。

いくらスイス製のムーブメントを使っていたとしても、一度蓋を開く、またはシースルーバックで丸見えになっている機械を見ると、どれだけ手を加えられているのかがすぐにわかります。

一昔前によくあった手法が、クォーツショックなどで力がなくなったブランドの名前を買い取り、さも老舗ブランドのように打ち出して、10万円の時計が1万円などと謳いディスカウントショップの折込チラシなどに掲載されていました。

この仕事をしているとよく分かるのですが、10万円の時計を1万円で販売し店が営業できるはずがありません。

何かしら安いものには必ず理由があります。
ある程度長く使いたいと思う場合は、ある程度の価格を覚悟しておくべきなのです。価格だけで価値の良し悪しを決めるのは危険ですので、どんなお店なのかも重要な要素となります。並行品のディスカウントショップは、今でこそ減ったかもしれませんけど上記のように10万円が1万円、というモデルが過去よく販売されていました。

正規店であればリスクはありません。
それなりのものは価格面で負担となりますが、結果的に安物に真似できない仕上がりになっているという、安心感も同時に得ることができるのです。

バイヤー:合田圭四郎

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