エイジングを楽しむ

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時計でなくてもそうですが、長く持つにつれ経年変化が現れます。いわゆるAging(エイジング)と呼ばれるものです。

使用しているだけでいつの間にか発生する小傷も経年変化で、使用する期間が長ければ長いほど、まるで指紋のようにオーナーの生活模様や癖が時計に刻まれていきます。アンティークの時計にまでなると100年以上経過しているものが珍しくなく、複数のオーナーに受け継がれている可能性もあり、新品当初と比べるとまったく別物のような印象に変わっているものもあります。

経年変化にネガティブなイメージを持つ方がいますが、時計と一緒に過ごす時間が長ければ長いほど傷が多くなるのは当たり前で、新品の状態を保つわけなどありません。

ましてや愛着の湧いている愛用品などは、経年変化を楽しむぐらいの気持でないと長く使い続けられないのです。

アンティークの時計など見る機会が多いのですが、無傷な時計など見たことはありません。
そもそも機械ものなので、複数の部品が集まって組み立てられている以上、組み立て時から傷が入り込んでしまっています。
組み立てられ完成した時計は、綺麗に磨かれ工場から出荷されます。

鏡面仕上げの時計は、数回着用するだけで無数に小傷が入り込みます。傷が入り込むとは理解しているつもりでも、できるだけ綺麗に使いたいと思い磨く人は多くいますが、よく磨く人はやりすぎて磨き傷が入っていたりします。

あってはいけないことが、落っことしてしまったりとても硬いものにぶつけてしまうことです。こうなると外見の傷だけでなく、内部の機構にまで影響する可能性もあります。時計は精密な機器でとてもデリケートなので、取り扱いには十分気をつけたいものです。

数年前にベルトがだいぶ劣化した状態でアイススケートに行き、転んだ拍子にベルトがちぎれてしまい時計が氷の上を滑っていく光景を見た時には、正直ぞっとしたものです。

幸いな事に時計は他の人に轢かれず無事でしたが、落とした時か滑っていて止まる時にぶつけたのか、わりと大きめの傷が残ってしまいました。中身の機械は無事なので良かったですが。個人的にはこれがあってからやたらとステンレスブレスレットばかり選んでいる気がします。

このように予期せぬアクシデントは必ずといっていいほど起こってしまいますが、その一つ一つが時計との思い出ともなります。

数年使ったらできるだけいい状態で転売しよう、という目的でない限り、使用する上で發生する傷に対してネガティブにならず、経年変化も時計を楽しむ一つの要素と思っていただくと、あまり気負わず時計と付き合っていけます。

バイヤー:合田圭四郎

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