素材の差

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腕時計の価格というのは本当にピンからキリまであります。
デザインが似通っていると、どちらが高価なものなのかは実際に触って見比べてみないと判断できない場合が多々あります。

時計を持ってみて「安っぽい」と思う基準の一つとして素材感があります。
もともと高級モデルを持ったことがある方なら敏感に感じると思いますが、見た目は重厚感があるのに持ってみるとやたら軽く感じる場合があるのです。

腕時計の外側は金属で覆われていて、これをケース素材と呼ぶのですが、ケースだけでなくベルト部分にブレスレットとして使われる場合もあります。

安い素材ではないのですが、軽く感じるものの例外としてチタンがあります。チタンは見た目よりかなり軽く感じます。ステンレスよりも高価な素材で、特徴としてはステンレスよりもねずみ色のような鈍い色合いが特徴的です。

ステンレスの違いでは、極端な物で言うと名の通ったブランドのブレスレットやケースと、露店などで並んでいる高級時計っぽい時計のケース、ブレスレットは全く違う印象を受けます。

見た目は重そうなのですが、持ってみると重厚感は全くなく頑張れば手で曲げられそうな印象を受けるほど軽いです。表記を見ると、きちんとした時計と同じようにステンレススティールの表記があったりします。

ステンレスがなぜ時計に使われやすいかというと、まず腐食に強い事が理由として挙げられます。鉄にクロムを混ぜることで錆が発生しにくくなっているのです。さらにニッケルを混ぜることにより海水や硫酸にも強くなっているのですが、実はニッケルは磁気にも強いんです。

ニッケルが含まれたステンレスは「304」と呼ばれるもので、よくキッチンや厨房素材に使われます。常に水に触れる素材の代表格なので、いかに水分に強いのかがよくわかると思います。この304に「モリブデン」という素材を混ぜることにより「316」という素材になります。

時計のケースはブランドにより個性を出すため形状の変更が必要となります。
加工による腐食にも強くするため、炭素の比率を0.03%におさえているものが「316L」と呼ばれる、高級ブランドのケース素材にも使われているステンレスとなります。

金属アレルギーが少ない素材で、時計の他には手術に使われるメスなどの医療器具に使われています。錆びにくく、腐食に強いことは医療の現場ですでに証明されているんです。ちなみに、300年前からある合金なので使われている歴史も十分と言えるでしょう。

残念なことに表記は「STAINLESS STEEL」のみしか記載されていない事が多く、よほど金属に詳しくない限り素材を完全に答えられる人はあまりいないでしょう。
別の考え方をすれば、いい時計には使われて当たり前とも言える素材なので、わざわざ記載する必要もないのかもしれません。

素材の差を見分ける方法としては、やはり間違いなくいい素材を使っているであろうブランドのモデルを目で見て触っておくこと、すなわち本物を知る事です。

本物の知識を少しでも多く持っておけば、海外でニセモノに引っかかる可能性も低くなります。

バイヤー:合田圭四郎

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