時計の精度

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当店ではお客様へ発送前に必ず行っている行為が検品です。
実は、検品は入荷した時点で行っているのです。
まず見た目をチェックし、傷や文字盤内部にホコリが入り込んでいないかなど入念に見ます。

悪いものはその場で調整したり、防水性能が高いものや特殊な構造で分解が困難なモデルは、メーカーへ送り直し良品と交換してもう、または修正し返送してもらいます。

良いブランドなどは、入荷した時点で当日に時刻も日付も合わせてくれていたりします。

見た目のチェックが終わると、次は中身のチェックとなります。特に機械式モデルに関しては、ゼンマイをいっぱいに巻いてからタイムグラファーなどの時計テスターで誤差をチェックするのです。

テスターで時計に異常が見受けられない場合はいいのですが、やたらと時差が発生しているモデルは可能な限りゼンマイの調整をし、正しい精度を出します。

上記を全てクリアしてはじめて正式に入荷するのですが、お客様へお渡しする前にもう一度同じように検品を行います。
不思議なのが、入荷時は検品が通っているのに、発送前に検品するとダメになっている場合があります。

時計とは本当に生き物のようなもので、時と場合によりコンディションが変わってしまうのです。

なぜこんな現象が起きてしまうのかというと、現行の時計は3針の腕時計でも毎時28,800振動(8振動)となります。1秒間の間に8振動も動いているわけですから、1分間に480振動、1時間で28,800振動、24時間で691,200振動、365日で252,288,000振動も休みなく動き続けるのです。たった1年間で2億振動を超えるのです。

もちろん摩耗で消耗する部品も内部には存在するので、動き続けることにより状態は常に変化していくということになります。
入荷時にはしっかりしたものを入荷させるために検品し、出荷ではいい状態で出荷できるよう調整をしております。

タイムグラファーで時計の精度を測るとき、当たり前にやることがあります。基本的な位置は時計の文字盤を天井に向けた置き方ですが、腕時計にしろ懐中時計にしろずっとその位置をキープしているわけではなく、動いている人間が着用するため、いろんな角度に移動し続けます。なので下向きであったり横向きであったりと、向きを変えながら計測します。

時計のような精密機器の内部にも重力は存在します。なので向きにより精度にバラつきがあるのです。これを姿勢差と呼びます。
トゥールビヨンのような特殊な機構ではこの姿勢差が出ないようになっておりますが、多くの時計には必ず姿勢差があります。

腕時計はその名のごとく腕に巻き使用するので、文字盤が上を向いている姿勢、歩いているときなどは左手の場合3時方向が下を向き、右手に着用している場合は9時方向が下を向いていることが多いです。

時計の時間がやたら狂うなと気になる時、こういう要素も時間狂わせる原因となります。
対策としては、日常どのような持ち方、置き方をしているのかを把握し、反対方向の向きに置いておくなどするといいかもしれません。

時計の精度は一律ではなく、まるで生き物のようにまわりの環境に影響されていくのです。

バイヤー:合田圭四郎

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