まぎらわしい表記

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ニュースで連日見かけた食品偽造問題。
少々行き過ぎた報道もあるかのように思えますが、産地を偽造するのは罪でしかありません。

嘘を理解していながら表記するのはもってのほかですが、紛らわしいという表記、表現は食品だけでなく多くの業界で日常的に行われていると思われます。

話は時計から外れてしまいますが、個人的に革製品が大好きです。レザーフライトジャケットであったり、鞄であったり、ブーツであったりなど、身につけている物で経年変化を楽しむことができる革製品が多く存在します。

つい先日、永く愛用できると思い購入したブーツがあります。
バイクでの使用を考えエンジニアブーツにしたのですが、永く使いたいだけにいろいろ知識を入れておこうと考え、専門誌やインターネットで調べたのです。

革の経年変化の特徴として「茶芯」と呼ばれる言葉があります。

もともと新品の頃は黒だったものが、使い続けることにより下地の茶色が出てくるというものです。一部の人には染色の失敗作とも呼ばれてますが、ジーンズの色落ちと同じで人とは違うエイジングを楽しむという点では、この茶芯は楽しみの一つとなります。

調べてみたところ、茶芯が出てくるのは一部のモデルらしく、せっかく購入するならそれをと思い探していました。インターネット上で茶芯と書かれているモデルは多く掲載されていますが、画像を見るとイマイチなものも多く見かけました。

人気のキーワードのようなので、説明文の文中に記載されている言葉が検索に引っかかったようですが、実際のものは全然イメージと異なってしまってます。さら他を見ていると、全然茶色くないのに茶芯と言い切っているものもありました。

全く茶色くないのに茶色と言い切ってしまうのは、探している人にとってはとても紛らわしい表現だと実感したです。
ちなみに、最初から茶芯のものを探す限り、現時点で茶色が出ていることが条件となり、結果中古品しか見ていなかったのですが、茶芯で無くていいから自分の足に合うものにしようと思い、結局新品となりました。結果的に茶色が出なくても、永く愛用するものは中古品より新品から使いたいと思ったからです。

少し趣味の方のそれましたが、本題に戻ります。時計などの精密機器は生産地がどこになるのかというと、最終的に組み立てられた国が生産国として表記されます。
つまりその中身であるムーブメントや外装品に使われている素材は表記されません。

じゃあ「SWISS MADE」は信頼できないのか?というそういう限りではありません。
スイスは時計生産、品質で世界トップの国です。SWISS MADEを名乗るには条件がじつはあるのです。

まず、内蔵されているムーブメントがスイス製であること。時計の組み立てがスイス国内で行われていること。最終検査がスイス国内で行われていること、となります。

スイス製ムーブメントを名乗るにも、もちろん決まりがあります。
組み立てがスイス国内で行われていること、製造者による検査がスイスで行われていること。ムーブメントに使われている部品の50%がスイスの物が使用されていること、となります。

さすが時計の本場スイスだと感心していました。上記をクリアしていないと時計の文字盤に「SWISS MADE」と記載してはいけない決まりになっているのです。
という事は、あきらかに他国製の品質、ものなのにスイス製と名乗っているのは、知っていながら○○産と堂々と書いている食品偽造問題と全く同じケースということになります。

組み立てがスイスでされていなく、ムーブメントだけスイス製を採用している時計は「SWISS MOVEMENT」または「MOUVEMENT SUISSE」の表記のみが許されます。
ちなみに文字を略したり、違う書体を使うことは許されていません。

という事は、それ以外の表記はスイスが認めている事にはならないという事になります。
「SWISS MOV’T」等パッと見それとわかる表現がありますが、これらは「スイス製」というよりも「スイス風」と認識するほうが正しいと言えます。

言葉だけ見るとわずかしか違わないように見えますが、その意味は全くというほど違います。自覚の上ならまだしも、間違った表記に惑わされたくない方はご注意を。

バイヤー:合田圭四郎

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