マーヴィン懐中時計「Peace」制作裏話 その3

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マーヴィンは1850年から誕生しているブランドなので、もちろん当時は懐中時計のみの製作でした。
しかし時代とともに需要が変化し、懐中時計から腕時計へとシフトした現代では、懐中時計の製作自体を案の定終了していました。

まず懐中時計を製作することが可能なのか?この質問が解決しないと次に勧めないので、スイスの本社へ問い合わせてもらい、返答を待ちました。

今まで、他のブランドではこの時点で制作できないとの返答だったので、また振り出しに戻り次のブランドに問い合わせる、の繰り返しだったのです。

何とか次に進みたい、この一心で返答を待ち続けました。
今思い出してもこの時の返答待ちが何よりも長く感じました。

しびれを切らし、何度か返答を催促し待ち続け、ようやく返ってきた返答は「復刻が可能」でした。

この返答には喜びを隠しきれず、すぐさま次回の打ち合わせを決めました。

どんな時計に仕上げていくのか?テーマが決まっているのでスムーズに話が進むと考えていたのですが、実際はそんなに甘くありませんでした。

そもそも現行で懐中時計を製作していないので、時計のケース(側地)など全てのパーツを考えなければならないのです。
現行の腕時計のパーツが流用できればよかったのですが、懐中時計のため大きさが合わず、パーツの流用はこの時点で断念ということになりました。

製造の可否については、マーヴィン社と取引のあるサプライヤー次第だったので、とりあえずデザインを考えることに注力することにしたのです。

テーマは1880年代の懐中時計を復刻することだったので、根本のデザインについてはほぼ迷いませんでした。
ただ、この時点で最初に迷ったのがカラーです。オリジナルの懐中時計はゴールド(おそらく高価な金無垢素材)で、同じように復刻するとかなり高額になってしまうのです。

確かにいいもの、いい素材にこだわると金無垢は最高の素材なのですが、高価なので日常生活に使うものというよりは記念品で家に飾っておくようなレベルのもにのなってしまうと考えたのです。

しかも、金や銀の特徴として、純度が高くなればなるほど柔らかくなってしまうので、少しぶつけてもへこんでしまうのです。
もちろん、そのへこみやキズ等がまるで指紋のように、オーナーだけの経年変化をもたらしてくれるのも懐中時計を楽しむ醍醐味なのですが、あまりマニアックになりすぎないようにと腐食に強いステンレスを選びました。

ゴールドカラーにしなかったのは、派手になり過ぎない時計を目指したからのです。しかし、高級感のある雰囲気に仕上げたかったので、鏡面仕上げをオーダーしました。

ただ昔の物を復刻するだけではなく、現代でもに常用できることを考え、マイナーチェンジを加えました。

バイヤー:合田圭四郎

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