マーヴィン懐中時計「Peace」制作裏話 その2

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「懐中時計を探しているお客様に、きちんとした時計を提供したい」
この想いを持ちながら、あらゆるブランドの方と話をしました。

それは自分たちがいいと思ったブランドに懐中時計を作ってもらえないか、または以前製作していて現在廃盤になっている懐中時計を復活してもらえないか、という内容でした。

多くの担当者はこの相談に応じてくれましたが、やはり最終的な判断はスイスの本社となるのです。スイスのブランドは世界中を相手に時計を販売しているのですが、日本でしか販売していない当店の意見はそんな簡単に通るわけがなく、良い返事を聞けることはありませんでした。

今まで取り扱っていないブランドで、懐中時計専門ブランドを探すことも考えたのですが、もう主流ではない懐中時計を専門に製作するブランドというのは見つけること自体困難なのです。

しかもそんなブランドがあるのなら、懐中時計専門店として問い合わせいるはずです。仮にあったとしても、結局大量に生産してくれるとは限らないので、現状から何ら変わらないと思ったのです。

現行の懐中時計ブランドを探しつつ、当店取扱いのブランドで過去どんな懐中時計を作っていたのかを知りたくなり、毎日いろんなブランドの懐中時計を調べました。

今では廃盤になってしまいましたが、過去にはオリスが懐中時計を販売していました。アートリエというシリーズから派生した懐中時計で、廃盤になった後も問い合わせが絶えないモデルでした。

しかし担当者に相談したところ、製造自体も終了していたので新たに製作することは不可能の返答でした。

ブランドに問い合わせては振り出しに戻る、という双六のような悪循環を繰り返し、どうにかできないかと店内の時計を見ていたところ、あるブランドの前で視線が止まったのです。

そのブランドは、1850年に創業、数あるスイスブランドの中でも長い歴史を持つブランドになる、マーヴィン(MARVIN)。
世界的な革命家である、チェ・ゲバラが自身が使ったことから気に入り、父親にプレゼントしたことのあるブランドです。他にもマリリン・モンローなど著名人に愛用された歴史を持つマーヴィンは、歴史や実績が信頼出来ると直感で確信出来ました。

早速担当者に連絡をとり、懐中時計はなかったか訪ねてみると、昔製作していた懐中時計が存在するとの返答。

是非現物を見てみたいと頼み込んだのですが、残念ながら日本には無く、代わりに写真を持ってきてもらいました。

シンプルで余計な装飾のないローマン数字文字盤に、現代では珍しい3時方向についたリューズなど、単調ではなく個性を感じたのです。

懐中時計の専門店としてこだわりたかったのは、蓋部分です。
通常、蓋は懐中時計のイメージとして定着しているんですが、使用していると構造上ホコリが入り込んでしまう原因の部分であります。

長年愛用するのであれば、時計内部にホコリが入り込んでしまう可能性が低い物のほうが向いているのです。

マーヴィンの懐中時計は、まさに探していた理想の時計に最も近い条件だと感じ、ブランドへの交渉に踏み切るのです。

バイヤー:合田圭四郎

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