自分で組み立てた時計は愛着が湧く

最近出番が多いこの時計。

先日からたまに掲載している、正美堂時計店創業50周年記念モデルとして誕生したオリジナルウォッチ。他では手に入らない時計なのはもちろんなのですが、じつはこの時計、単なるオリジナル時計ではないのです。

この時計の以前の姿は懐中時計だったのです。以前正美堂とスイスのマーヴィン社がコラボして製作したオリジナル懐中時計、PEACEのムーブメントを使用しているのです。当店に長年眠ってあったサンプル品で、パーツの破損から僕の練習台として分解、組み立てを行っているムーブメントでした。

ムーブメントは幸いにもトラブルはなく、せっかくなので時計として使用できないかと考えていたところ、オリジナル用に用意した外装パーツが一式あったので、自力で組み立ててみた一本なのです。

組み立てる前は、割と自信満々だったのですが、やってみるとやはり当店の店頭で毎日時計を触っている、一級技能士にはかなわないなと実感しました。ムーブメントに文字盤をつけるのは問題がなかったけど、針の取り付けでだいぶ手間取り、よく見なければわからないけど、実は文字盤に軽い小傷をいくつかつけてしまっています。

失敗作だとは思っていたけど、自分自身で完成させた腕時計には、何とも言えない愛着が湧いてきます。

こんな感じで、自分だけの一本を所有する楽しみを、正美堂オリジナルウォッチは伝えていければと考えています。

今では時代遅れのアナログ手巻き式ですが、自分でゼンマイを巻くことにより、命を吹き込まれたように元気に動き出す時計を見ると、最先端のものにはない、独特の喜びを感じられる時計です。

正美堂 合田圭四郎

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