失敗しない懐中時計の選び方

現代の時計の主流は腕時計です(ここ最近スマートウォッチも進出してきていますが)。懐中時計は、腕時計が普及する前の時代のもので、どちらかといえば知らない人のほうが多いように感じます。

情報がないので、どんな時計を選べばいいのかよくわからない、という方がほとんどです。

懐中時計を選ぶ際に、まず候補として上がってくるのがアンティークやヴィンテージなど古い時計。日本国内でも懐中時計を専門的に取り扱うお店は本当に少なく、高知県にお店を構える当店へ、わざわざ東京からお越しいただくお客様がいらっしゃるほどです。

まず最初の選択肢として、古い時計か新品かとなります。

懐中時計を初めて持つ人に古い時計はおすすめしません。これには理由があります。

まず、数十年前や百数十年前の時計の場合、現代を想定して作られているものではない、ということです。現代はスマートフォンやテレビ、ラジオなど、身の回りにあらゆる電化製品があります。リモコンなどもそうですが、これらと時計を近い状態で置いておくと、時計が「磁気帯び」を起こしてしまいます。

磁気帯びはその通りで時計が磁気を帯びる現象のことを指し、一度磁気帯びすると磁気抜きをしないといけません。

ひどい場合は、各パーツが一つ一つ磁気帯びしてしまうこともあります。

こうなると、分解し各パーツを磁気抜きする必要があり、オーバーホールと同じ手間ひまがかかり、高額なメンテナンス費用が発生します。現行の時計ですと、現代の開発なので若干ではありますが、対応しています。

知らない間に起こってしまう磁気帯びは、想像以上にやっかいなのです。

次に知っておきたいのが、耐震機構。

↑左が耐震機構のついた現行品のムーブメント、右が耐震機構のない古いムーブメント

現行の懐中時計用スイス製ムーブメントは「耐震機構」になっています。

時計はゼンマイを動力源とし、巻いて縮まっ

たゼンマイがほどける力を利用し動きます。

このほどける力を制御しているのが、テンプという心臓部になります。動いている機械式ムーブメントを見ると、最も動いている部分なのですぐにわかります。テンプ部分には「天芯」とよばれる重要なパーツがあり、落としたりすると天芯に衝撃が伝わり、最悪の場合は折れてしまうのです。

天芯が折れると、テンプ輪がまともに動かなくなるので、ゼンマイを巻いているのに時計が止まってしまうのです。

この天芯が折れないよう、強い力が加わった際は力が分散し、バラバラになることで天芯が折れてしまうのを防ぐ事に成功しているのです。これを耐震機構と呼びますが、有名な耐震機構として「インカブロック」と呼ばれるものがあります。

天芯は製造できる人が大変少ない事と、高コストであることから、できる限り破損したくないパーツなのです。

アンティークやヴィンテージなどの時計では、耐震機構がついていない時計が大変多いです。

懐中時計を最初に持つならば、耐震機構がついている現行のムーブメントを選ぶことにより、安心して使用できます。順番としては、懐中時計の取り扱いに慣れてからアンティークやヴィンテージを所有することをおすすめします。

懐中時計を選ぶ際は、まず現行のスイス製ムーブメントを選ぶのが失敗しないコツと言えるでしょう。

正美堂 合田圭四郎

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