知っておきたい防水時計の基準

  

日本は暑くなるとジメジメと湿気を肌で感じるようになってきます。これくらいの季節からダイバーズウォッチなど、防水性能の高い時計がシーズンとなってきます。

これからの季節は、よくお客様から質問を受けることがあります。それは「どの防水性能を選べばいいのか?」ということです。
一口に防水時計といっても、日常生活防水や日常生活強化防水など、知らない人が聞くとよく理解できません。

防水時計だから大丈夫と、そのまま中へ浸してしまう場合がありますが、これが原因で時計を壊してしまう人は後を絶ちません。もし時計内部がくもってしまったら、それは完全に時計内部に浸水してしまっているので、時間が経ってくもりがとれたとしても確実に故障してます。どんなにいいブランドのいい時計でも、内部が曇ると無条件で故障なのです。

なぜ防水時計なのに水に時計を入れたら壊れてしまったのか。これはその時計の防水性能が低かった可能性があるのです。だいたいよく見かけるのは、日常生活防水が3気圧程度となります。よく30m防水とも呼ばれますが、実際に30mの水中域で使用できるということではなく、30m域でかかるとされる水圧に耐えることができる、という意味なのです。

水が少々散る程度の水圧であれば耐えられますが、大雨やホースから出る水であったり、蛇口をから出る程度の水でも耐えられません。なので限りなく非防水に近い存在となります。

次に10気圧防水は、よく100m防水と同義のような表記を見かけます。表記に決まりはないので10気圧のモデルに100m防水と書かれる表記は非常に多いのですが、実際には3気圧と同じく、100m域の水圧に耐えられる防水性能となります。

実際に水中で泳いだり前に進んだりすると、この時点で時計内部には10気圧以上の圧力がかかるので、内部へ浸水する可能性は高くなります。10気圧防水では、直接水中へ時計を持ち込めるレベルではないという事なのです。

しかし同じ100m防水といえど、日本が定めるJIS規格や海外のISO規格をクリアしているモデルは、直接水中で「使用できるほどの防水性能」を備えています。

しかし残念ながらほとんどのブランドがJISやISOの規格をパスしておらず、自社内での評価で防水性能が設定されているのが事実です。

厳しい基準をクリアしているダイバーズウォッチは、規格の中に含まれている条件を満たさなければならない故、きちんとしているモデルほど逆回転防止ベゼルやエクステンションブレスレット、暗いところでも文字盤を確認できる蓄光加工など条件が同じになってきます。

ここで気をつけておきたいのが、パッと見はダイバーズウォッチなのに実際は全然違うスペックとなる、いわゆる「ダイバーズウォッチ風」の時計です。ファッションウォッチでよくあることなのですが、逆回転防止ベゼルがついていてゴツゴツしている見た目なのに、実際のところ防水性能は備えていない、というのはよくある話です。

見た目だけで選んでいるのなら個人の好みなので問題ないとは思いますが、きちんとした防水性能を求めたいのであれば、こういったモデルには気をつけたいところです。

間違ってダイバーズウォッチ風を選んでしまわない方法としては、防水性能をチェックすることです。大体の時計は、文字盤または本体の裏側に防水表記が刻印されています。水に浸けて使用するほどの防水性能を選ぶのであれば、最低でも「20BAR」や「20ATM」、「200m」などのモデルを選ぶ必要があります。

ショップのスタッフによっては知識が浅く「10気圧なので100m防水です」なんて堂々と説明する人もいますが、これはあきらかに間違った説明なので、最低限必要なスペックは自分自身で把握しておきたいところです。

バイヤー:合田圭四郎

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