時計の置き方で誤差が変わる

  

時計のスペックや操作方法については説明書を読めばだいたいわかりますが、人によって異なるのが置き方です。24時間ずっと時計を着用している人は少なく、毎日入浴時や就寝時など、どこかに腕時計を保管しなければなりません。
もし24時間着用しているならば、時計が壊れる確率を下げるためにもやめることを強くおすすめします。

だいたいの人は机の上などに文字盤を上向きにして置くのですが、これは最適とは限りません。

時計には必ず「姿勢差」が発生します。当店よりお客様へお送りする際必ず検品を行っているのですが、機械式時計はだいたいの日差を計測します。
この日差というのは、文字盤を上向きにして±何秒か、文字盤を横向きにして何秒誤差があるか、というチェックなのです。

全てにおいて±0秒という事はほぼあり得ません。重力が影響する限り姿勢によって誤差は発生してしまうのが普通です。例外としては、姿勢に影響されないトゥールビヨンがあります。これはどの向きにしても一定の精度を保つ設計になっているので、高精度の状態を維持します。

まるで光と影のように、姿勢差は表裏一体となります。文字盤上向きが精度が良ければ別の姿勢で狂いやすい姿勢が必ず存在するのです。これは一律ではなく、時計により異なります。

スイス製機械式時計の精度は、クロノメーター以外のものは±20秒以内が正常範囲と当店では定めています。

この±20秒以内というのは、計測した姿勢差の平均で20秒以内に収まっていればOKとしています。なので5秒程度の姿勢もあれば10秒以上の誤差が発生する姿勢が存在します。

同じ時計でも、まるで個人の性格のように差がでてしまうのです。時計によりベストな姿勢があり、その向きで置いておくことで少ない誤差に抑えることができます。

残念ながら誤差を表示するタイムグラファーなどのテスト機は、よほど時計が好きな方か時計に携わる仕事の人でないと所有していません。しかし、機材を使わずベストを探し当てる方法があります。

少々気長な方法になりますが、夜間など時計を使用しない時間を使い、毎日定時に異なる姿勢で時刻を計測します。寝ている時間などなるだけ多い時間を使うことで、より正確に割り出せるでしょう。
時報や携帯電話の時刻と時計を合わせ、計測後に発生している誤差をメモしておき、これをあやゆる姿勢で試すことにより最も誤差が発生しにくい向きを割り出すことができるので。

バイヤー:合田圭四郎

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